2006年09月24日

月まで歩いて行けるかな?



先行きの見えない状況の事をよく一寸先は闇・なんて例えるけれども
我が華やかなる二十年の人生において、これほどまでの真っ暗闇に
お目にかかったことはない気がするな。お目にかかるっても、まあ、
暗過ぎて何も見えないんだが。手元でうっすらと光る携帯のバックライトを
頼りに一歩ずつ慎重に、しかししっかりと前に進もうとすると、やにわに
俺の袖を引っ張って止める奴がいる。おい、しっかり歩けって。

「いやや!もうええやん、帰る!」

じゃあ一人で帰ればいい。命綱たる光源、すなわち携帯を持っているのは
俺だけだからな。帰れるもんなら一人で闇の中に突っ込めばいい。

「そんなん無理やって!もう行きたくない怖い怖い!」

あーもう喚くな叫ぶな分かったから。そんなに帰りたいのかよ。
じゃあ、そうだな、あと百歩行って何もなかったら帰ろう。どうだ?

「10歩」

値切るな。じゃあ50歩だ。

「25歩」

駄目。50歩。これ以上はまからんねえ…って何の交渉だよコレ?
あーもう行くぞ、一歩、二歩!

「三歩!四歩!」

五歩、六歩…っとちょい待ち。何かいる。見えるか?

「え!?ちょ、何?何が?」

そこだ…ほら、そう…お前の後ろに!

「いやああああああああああああああああああ!」


それは平和で静かな森の中で起きた、平和で静かな出来事。
悲鳴も、絶叫も、全て闇の中へ、吸い込まれてゆくから。

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posted by iNut at 00:16| バンクーバー ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする