あそこは雨が多くて年中霧の出てる憂鬱な街だって」
いくつものベッドが折り重なるように積み上げられ、子供が
家具を並べて作った秘密基地のような様相を呈すdormitoryの、
一番隅の窓際のベッドに腰掛けた俺に向かって男性は言う。
「だが、そうさ、彼らは一体何を心配しているんだ?」
愉快そうに笑う彼。俺も頬を緩め、肩越しに窓の外を眺めた。
狭い路地の向かい、建設中のビルの窓ガラスが、雲一つない
ヨーロッパの空を反射して青く輝いていた。俺は顔を戻して
彼に言った。
"Yeah, it's so good day."
少年迷子中…